cybozu.com と kintone.com の違い — Kintoneドメインの使い分け
Kintoneをよく調べると、2つの異なるドメインに気付きます。cybozu.comとkintone.comです。同じKintoneなのに、なぜドメインが分かれているのか。プラグインを導入する際に、両ドメインで動作するか確認する必要があるのはなぜか。この記事では、実際の現場で重要になる違いを整理します。
この記事の要点
cybozu.comは日本国内向けKintoneの伝統的なドメインで、国内データセンターで運用されます。kintone.comは2017年以降の新規契約と海外展開向けの統一ドメインです。両者は同じプロダクトですが、契約形態・データ居住地・プラグイン互換性に違いがあります。プラグインベンダーを選定する際は、両ドメインで動作確認済みかを必ず確認してください。
両ドメインの歴史的経緯
Kintoneは2011年にサイボウズが日本国内向けにローンチしたクラウドサービスです。当時、サービスはcybozu.comドメイン上で提供されていました。これは親会社であるサイボウズ株式会社のドメインを活用した形です。
その後、Kintoneが米国・中国・東南アジアなど海外への展開を進める中で、kintone.comという独立したドメインが整備されました。海外市場では「Cybozu」というブランドよりも「Kintone」というプロダクト名を前面に出した方が通りが良いという判断です。
結果として、現在は:
your-company.cybozu.com— 2011年~2017年頃に契約した多くの国内顧客。現在も現役で使用されている。your-company.kintone.com— 2017年以降の新規契約、および海外向けの統一ドメイン。
両者は同じKintoneプロダクトですが、契約時期と運営インフラに違いがあります。
技術的な違い
データ居住地
cybozu.comドメインのKintoneは、日本国内のデータセンターで運営されています。kintone.comドメインの契約は、リージョン(日本・米国・東南アジア・中国など)が選択可能で、契約時に決定されます。
日本国内の金融・医療・公共機関では、データ居住地が国内であることが監査要件として明示される場合があります。cybozu.comは伝統的にこの要件を満たしていますが、kintone.comの契約時には、契約書で「日本リージョン」を明示的に選ぶ必要があります。
認証・SSO設定
SAML SSO・IDプロバイダ連携・OAuth設定は、両ドメインで基本的に同じ機能が提供されます。ただし、管理画面のURLが異なるため、SSOプロバイダ側で両方のドメインを登録する必要があります。
例:Okta側でSSOを設定する場合、https://your-company.cybozu.com/k/とhttps://your-company.kintone.com/k/は別のアプリケーションとして登録されます。両方のドメインで運用するには両方の登録が必要です。
APIエンドポイント
APIエンドポイントもドメインによって異なります。
// cybozu.comドメイン
https://your-company.cybozu.com/k/v1/records.json
// kintone.comドメイン
https://your-company.kintone.com/k/v1/records.json
プラグインが両ドメインに対応するためには、APIの呼び出し先を動的に決定する必要があります。location.hostnameから現在のドメインを取得する実装が一般的です。
プラグイン配布の違い
プラグインのインストール自体は、どちらのドメインでも同じ方法(.zipファイルのアップロード)で行います。ただし、プラグイン内部でドメイン固有の処理(APIエンドポイント決定、CORS対応、認証ヘッダ構築等)を正しく実装していない場合、一方のドメインでは動作し、もう一方では動作しない、という現象が発生します。
これは現場でたびたび問題になります。「テスト環境(cybozu.com)では動くのに、本番環境(kintone.com)では動かない」または逆のパターン。プラグインベンダーの品質管理不足が原因です。
プラグイン選定時の確認ポイント
プラグインを導入検討する際、以下を必ず確認してください:
- 両ドメインで動作確認済みか:ベンダーに「cybozu.comとkintone.com、両方のドメインで動作検証済みですか?」と直接確認する。曖昧な返答の場合、ドメイン切り替え時のリスクがあります。
- 本番とテスト環境が異なるドメインの場合:両方でトライアル検証する。片方でしか動かないバグは、本番移行時に表面化します。
- 将来の移行計画:現在
cybozu.comで運用している場合、kintone.comへの移行を検討することがあります。その時、プラグインがドメインを選ばず動作するかは重要な要件です。
現場でよくある混乱ポイント
「Kintoneのサブドメインを教えてください」と聞かれた時
プラグインベンダーやコンサルタントから「Kintoneサブドメインを教えてください」と聞かれた時、ドメインも含めて伝える必要があります。your-companyだけでは、どちらのドメインか不明です。以下のどちらかを伝えます:
your-company.cybozu.comyour-company.kintone.com
URLの書き換えで両ドメインにアクセスできる、と誤解される
your-company.cybozu.comのKintoneを、URLを書き換えてyour-company.kintone.comでアクセスすることはできません。契約時のドメインが固定されており、別ドメインで同じKintone環境にアクセスすることはできません。これは契約とインフラの都合です。
IP制限環境でホワイトリストに入れる時
企業のIP制限環境でKintoneを利用する場合、*.cybozu.comと*.kintone.comの両方をホワイトリストに入れる必要があります。片方だけだと、プラグインが外部リソース(例:Googleフォントなど)をCDN経由で読み込む時に、一部のCDNが別ドメイン経由でアクセスされる場合、失敗する可能性があります。
kinplugの対応状況
kinplugの全プラグインは、cybozu.comとkintone.comの両ドメインで動作検証済みです。APIエンドポイントはlocation.hostnameから動的に決定する実装で、ドメイン固有の処理が必要な場合は、ドメイン別のロジックを内部で分岐させています。
実際の導入実績として、8社のサブドメインで運用されており、そのうち複数がcybozu.comドメイン、複数がkintone.comドメインです。金融グループの大規模cybozu.com環境(43アプリ)、保険関連のkintone.com環境(複数サブドメイン統合運用)など、ドメインを問わず安定動作しています。
まとめ
cybozu.comとkintone.comの違いは、多くの場合、日常運用で気にする必要はありません。しかし、プラグイン選定・SSO設定・IP制限環境・データ監査対応・海外展開など、特定の局面では重要な判断要素になります。両ドメインで動作する製品・サービスを選ぶことで、将来のドメイン変更や海外展開に柔軟に対応できます。